2007年 01月 31日
昭和50年代前半のとある夏の日、オレは友達からこの「薮塚石切場跡」の話を聞いた。よし、行ってみるんべぇよ!と暑ぃ中、友達といっしょに自転車(じでんしゃ)ふんごくって、近くまでやってきた。農作業をしてたじぃさんに「石切り場に行ってみたいんだけんど、どこにあるんですか?」と聞いたら、「おめーそんなカッコじゃ、マムシにやられておっちんじまうで。ちゃんとゲートル巻いてきなくっちゃダメだんべで!よしてけぇれ!」と軽装なんをたしなめられ、退散してきたことあったぃね。家に帰ぇってから「ゲートル」の意味を調べたもんなぁ。 あれから30年弱の歳月が過ぎ、まだ見ぬ「薮塚石切場跡」を訪れてみることを思い立ったぃね。東毛少年自然の家からの帰り道の、車で1~2分(もちろん歩っても行げる)のところに薮塚石切場跡はあるんさね。入り口にひっそりと掲げてある案内板にはこうある。 今から凡そ二千年前位に多くの火山活動によって堆積された軽石凝灰岩が地殻の変動で隆起し各地に露出したものが藪塚石となった。この薮塚石は明治の中頃から小規模に採掘をしていたが、明治三十六年より薮塚石材株式会社が創立され盛んになり始めた。質はやわらかく細工もしやすく、価格も安かったので建築物の土台や塀、熱に極めて強かったのでカマドとして発売された。大正二年に東武鉄道が敷設されると、販路も関東諸府県から長野県に至るまで藪塚石の名は広まった。当時労務者は三百五十人位であった。しかし藪塚石の最大の欠点は水に弱く、中に小石がある事、層に割れ目が多い事などで、同質の大谷石と比べ多くの人件費がかった。質に於てだんだん嫌われていった。そして、現在各所にこの様な大きな採掘跡を残して昭和三十年頃に閉山のやむなきに至ったのである。入口からは、踏み跡が明瞭。ネットで調べると心霊スポットとしても紹介してるサイトもあるんで、今でもそれなりの訪問者がいるんだんべね。だんだん木々が鬱蒼と茂ってくる。こりゃあの夏の日、マムシが出るから行ぐのよせってゆった、あのじぃさんの話もあながちウソじゃなかったぃな。途中から木道になるけんど、所々朽ちて踏み抜かれてるところもあらぃね。 ・・・・石切場跡に到着。・・・・・すげぇ・・・・思わず息を呑む。 まるで西洋の神殿のような光景。・・・・いや、異星に連れてこられたような感じ。 垂直に切り立った壁。ひんやりとした空気。そして静寂。 数m先の天井部分には、石切職人が書いた半世紀を経ても鮮明な赤いマーキング跡。 ・・・・オレの未熟なデジカメの画像じゃ、あの威圧感の1%も再現でぎねぇだんべ。 見物してぇ人は、ちゃんとした靴履いて、崩れることもあっかもしんねぇから、くれぐれも自己責任で。万が一、マムシに咬まれても近くにヘビセンターがあっから血清はすぐ手に入ぇるんじゃねん?・・・・・太田市、群馬県は、ここを一刻も早く近代化遺産としてちゃんと管理・保全したほーがいいね。 (本日、了) 【右図は、カシミール3Dで国土地理院「ウオッちず」公開データに、今回のGPSデータを読み込んだものを引用。下のフラッグは説明版のある石切場跡入り口、上のフラッグは石切場跡】 【続編】 続・薮塚石切場跡 (太田市薮塚町) ~ 隠れた奥宮へ (2011) ※2014年5月に再訪:入口の道がだいぶ整備されてたで。 薮塚石切場跡へ、再び
by dr_suzuki
| 2007-01-31 20:21
| 東毛(+両毛)漫遊
|
Trackback(1)
|
Comments(18)
Tracked
from Bandit's Rain
at 2007-02-05 04:03
タイトル : 薮塚石切場跡
先週すずきさんに教えてもらった薮塚の石切場跡。 この手の「自然美ポイント」にテンで弱い私は、記事を見たときから「この日曜にでも行ってみんべ」と決めておりました。 しかし、今日の県内は朝から猛烈なからっ風が吹き荒れ、目指す八王子丘陵は黄色い砂塵の中。 走る車は砂のヤスリに襲われ(涙)、目もチカチカ(涙)。 何もこんな日に・・・と自分でも思いましたが、なんせ物好きな性格ですので。(あ、知ってますか?^^) 薮塚駅から薮塚温泉に向かい、「東毛少年自然の家」の看板に従い左折。 700mほど北...... more
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torajiro-joshu at 2007-01-31 22:08
写真見っと、石切場跡はなんかすげぇ雰囲気みてぇだいね。
たしかに心霊スポットって言われてもおかしくねぇように感じらいね。 行ってみてぇ気もすっけど、寅ちゃん、マムシは苦手なんで、やめとくんべぇね。杉花粉も怖えしね…。 それより、すずきさんとおらぁ同年代みてぇね。そう思うと尚更親近感がわかぁね。
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sanzokuame at 2007-01-31 23:31
県内のディープな地学スポットが満載の「自然美マップ」(上毛文庫)にも出てます。
東毛では他に新里村大久保の「大地震の証拠」、桐生市菱町の「マンガン鉱山跡」、それから「馬見岡凝灰岩露出地」など。 この本、きっとすずきさんのツボかと。^^
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dr_suzuki at 2007-01-31 23:36
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dr_suzuki at 2007-01-31 23:42
▼三束雨さん
別に地学ヲタじゃねんだけんどなー(笑) 「馬見岡凝灰岩露出地」は歩っても行げるから、ウォーキングのコース変えて行ってみっかな。 「マンガン鉱跡」もどこにあるんか知ってるよ。 それより、三束雨さん、この石切場に、カメラと、できたら広角レンズ持っていって画像撮ってみてよ。 貴殿ならすげぇ迫力ある画像が撮れると思うで!
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ざすっぱ
at 2007-02-01 09:17
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栃木県の大谷石採掘跡地は有名ですが、群馬にこんなところがありましたか。きっと人力のみで採石していたんですよね。大変参考になりました。昔は門柱、塀に使われていたんですね。ブロックの出現で衰退したのだと思います。
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dr_suzuki at 2007-02-01 15:01
▼ざすっぱ先生
聞きしに勝る光景ってゆーのはこのことだと思ったぃねぇ。 この石切場跡は、まっと観光資源として脚光を浴びてもいんじゃねんかねぇ。 でも正直、抗内に変死体がねぇかとか、棲みついたイノシシがいるんじゃねぇかってマジで心配してたで(笑) 誰かが焚き火をした跡があったけんど。
いやー、すごいですね。ここは。
こんなところがあるなんて、私は全然知りませんでしたよ。
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dr_suzuki at 2007-02-02 20:43
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yosuie at 2007-02-03 00:46
その昔、東毛少年自然の家で合宿中、
オリエンテーリングで目印探しに山に分け入り、 辿り着いたことがあります・・・。 上から覗くとかなりの高さで、 こんなとこでオリエンテーリングやっていいのか?っと、 子供心に思いました(笑)。
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dr_suzuki at 2007-02-03 09:23
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sanzokuame at 2007-02-05 04:06
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dr_suzuki at 2007-02-05 09:38
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oto-to_kawagoe
at 2007-02-07 15:06
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おひさしぶり~!
藪塚だったか西長岡(原ぢゃない方ね)の石切り場で小学校高学年時 3馬鹿(Yひろ・Mさる・俺)でよく探検したんさね。 狭く長い壁をすり抜けて、腹ばいで奥に進むと水たまりがあって、その奥にトンデモネぇ広い空間があったんさ!大人になった今、そこに到達するのは不可能と思うけど。(K探検隊みたいだね) 焚き火をしたり、アケビを食ったり「昭和」の子供は元気だったねぇ。 今思うと、なっからキケンな場所だぃね・笑
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dr_suzuki at 2007-02-07 16:15
▼弟@川越へ
よくマムシにやられなかったな(笑) 確かに入り口右手奥にはまだ空間があったみてぇだけんど、一人なんで行がなかったんさ。 八王子丘陵はほんと今でも謎がいっぺぇだよなぁ。 今度帰ってきたとき、一緒に探検行ぐ?(笑)
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ふく
at 2007-10-21 21:21
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はじめまして
幽霊さんが出るとかあんまり言わないでほしいな。 確かに作業中思わぬ事故で、お亡くなりに成られた方はいらっしゃるけど、その人たちの為にいまだ、手お合わせる方もいるのだから・・・。 しかも、もしもそこにまだ幽霊さんがいるとしたら、私にとってはとても優しい方々ばかりだし、いろいろ助けていただいたこともあるよ。 ただし、注意をするなら、足元と、頭上には気を付けて出かけて下さいね。
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dr_suzuki at 2007-10-21 22:49
▼ふくさん
はじめまして。オレの書いた文章で不快な気分になってたらごめんなさい。 不幸にも事故でお亡くなりなった方々のためにも、太田市や群馬県はきちんとあそこを保全したほうがいいんじゃねぇんかな。
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at 2007-10-22 19:01
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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dr_suzuki at 2007-10-24 22:10
▼ふくさん
そんなに地権が複雑だと保全も難しい問題だぃねぇ。かといって、このまま風化していっちゃうのも忍びなぃんね。 |
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