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2012年 12月 15日
両毛の「青面金剛」と「二十二夜/十九夜塔の如意輪観音」の分布 (第2報)
 オレのライフワークの歴史民俗調査シリーズ。今回は先の報告の第2報さね。

 今年1月に、このブログでの第1報記事を書いてっから、調査を両毛エリアに拡大。お出かけの帰ぇりに、家族に顰蹙を買いながら(とゆうか、はぁ諦められてる(笑))神社仏閣に寄り込み、せっせと石造物を撮影したりしたんさね。またげきさかさんOsatoさん岩魚さん焼きそば君さんには多大なる貢献をしてもらったんさ!特に岩魚さんと焼きそば君さんは、石造物と交信できるんきゃ?(笑)と思うほど、探し出す能力が長けてらぃね。お二人のお陰でデータがすんげぇ充実。いやはや感服だぃね。

 皆さんから寄せられた画像データや、各文献・資料を合わせ、時間が取れればGoogleMapで分布地図(全てに画像を埋め込み)をせっせと作成。画像データも高画質のものが得られた場合は都度差し替えてるんさ。

 本年の成果として、今日12月15日現在のデータをご覧いただくとすんべぇか!

両毛の「青面金剛」

 マップはこっち!(GoogleMapへ)

 12月15日現在の進行状況は下図(GoogleMapをキャプチャ)。
両毛の「青面金剛」と「二十二夜/十九夜塔の如意輪観音」の分布 (第2報)_b0004675_12415843.gif


 両毛エリアで、現在のデータは約800基近くに達し、壮観なレベル、もはや一大プロジェクトの感。それでもまだ文献の記載はあるものの、未だ発見できでないものもいくつかあって、現在も探索進行中。特に桐生は文献資料に乏しく調査に難儀している。(『桐生市史』(1958)『桐生市誌別巻』(1971)は石造物のデータに乏しいのが残念である。当時の桐生市が裕福で、他の市町村よりも早く市史を編纂し発行するという文化的事業を行ったのは賞賛すべきことだが、当時は石造物の精査をするなどは編纂方針になかったのかもしれない。1975年以降の各市町村の史誌には一部例外はあるが、石造物が調査され、一覧などが掲載されているものが多い。ただし画像は載ってないし、詳しい場所も掲載されていないことが多い。太田市東部では文献記載漏れも多数ある。)

両毛の「青面金剛」と「二十二夜/十九夜塔の如意輪観音」の分布 (第2報)_b0004675_1256509.jpg【考察】
 初期の青面金剛は、佐野~館林エリアに多い。日・月を掲げるバンザイ型地蔵様像容(右:下彦間バス停そばのもの:焼きそば君さんご提供)も多い。
 水は人間生活に必要不可欠なため、川沿いに集落が形成されたと思われ、多くが河川に沿って分布している。
 一方でほとんど分布のないエリアもみられる。江戸時代は水利に乏しく、荒涼とした原野が広がっていて集落が形成されなかったのであろう。江戸時代後期のものは、新田開発が進んだエリアに多い。(青面金剛などの石造物は、近年の都市開発で、元あった場所から近くの神社仏閣や公民館などに集積されてしまう場合もあるので、一概には当てはまらないが)




両毛の「二十二夜/十九夜塔の如意輪観音」

 マップはこっち!(GoogleMapへ)

 12月15日現在の進行状況は下図(GoogleMapをキャプチャ)。
両毛の「青面金剛」と「二十二夜/十九夜塔の如意輪観音」の分布 (第2報)_b0004675_1242155.gif

 前回よりも足利・佐野を中心に、よりデータが充実!

両毛の「青面金剛」と「二十二夜/十九夜塔の如意輪観音」の分布 (第2報)_b0004675_131996.jpg【考察】
 二十二夜(ピンク)/十九夜(紫)という月待塔の文化の境界が両毛地区にあることがより歴然とした。女人講を主導したと思われる修験者や山伏などの流派の違いによるものかもしれないが、今後更に研究を進めていきたい。

 個人的に最も興味深いのは桐生川の上流地域が十九夜エリアということである。(右の画像は、桐生川の上流・菱・八幡神社の十九夜塔の一部:岩魚さんご提供) 上述のように桐生エリアは文献にも乏しいため、調査はまだまだ緒についたばかりで、更にデータを充実させていくのが今後の課題である。



(おまけ)
 まだ余りデータは充実してねんだけんど、一応これも進行中。

両毛の「不動明王」

 マップはこっち!(GoogleMapへ)

 いずれも第3報をご覧いただけるように、また頑張ってぐんべぇか。

 ・・・実はもうひとつふたつ、ついでに別な新機軸のマップも作成してるんだけんど、それはまっとデータが充実したら、公開するとすっかね。いやぁライフワークが次から次へと、いっぺぇあってたいへんさね(笑)(^^ゞ

【参考文献&サイト】
『上州の近世石造物2 庚申塔と月待・日待塔』 群馬県教育委員会 1986
『新田町の石造物と金工品(新田町誌基礎資料4号)』 1977
『薮塚本町の民俗』 群馬県教育委員会 1974
『薮塚本町誌上巻』 1992
『笠懸村誌・別巻ニ』 1983
『太田市石造美術調査報告書』 1976
『尾島町の石造遺物』 尾島町誌刊行委員会 1978
『文化財総合調査 館林市の石造文化財 館林・郷谷の石仏』 館林市教育委員会1979
『文化財総合調査 館林市の石造文化財 多々良・渡瀬の石仏』 館林市教育委員会1979
『新田郡宝泉村誌』 宝泉村誌編さん委員会 1976
『大間々町誌 / 大間々町誌編纂室編 ; 別巻7 石造物編』 大間々町誌刊行委員会1994
『黒保根村誌別巻Ⅱ 黒保根の石造物』 1987
『勢多郡東村誌通史編』 1998
『千代田村誌』 1975
『明和村誌』 1985
『民間信仰としての板倉町の石造物と鋳造物』 1979
『境野の石仏』 清水義男 1994 (桐生市立図書館蔵)
『桐生の庚申塔』 石川博司/ともしび会 1994
『足利の庚申塔』 田村 允彦・星野 光行 随想社 2002
栃木庚申塔巡り』 石川博司  2012年12月15日アクセス
『中山正義氏資料』 koktok.web.fc2.com 2012年12月15日アクセス
『瀧澤龍雄氏資料』 sekibutsu.digiweb.jp 2012年12月15日アクセス
『石の宗教』 五来重 講談社学術文庫 講談社 2007

【12月27日追記】
 新マップ作成してみたで!げきさかさん&岩魚さん、あんがと~!

両毛の「馬頭観音」

 マップはこっち!(GoogleMapへ)

by dr_suzuki | 2012-12-15 13:12 | 東毛(+両毛)漫遊 | Trackback | Comments(0)


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