2012年 05月 23日
袈裟丸山系の放射性物質による汚染状況について
※無断引用・転載を禁ず

【はじめに】
 2011年3月11日の福島県の東京電力福島第一原子力発電所の事故で飛散した放射性物質は東毛北部の山岳地帯に降り注ぎ、広く山野を汚染した。とりわけ袈裟丸山系は高濃度に汚染されている結果が示されている。 1,2) 
 2012年5月20日、東毛北部の袈裟丸山中腹の「寝釈迦」まで登攀する機会があり、登山道途中で、空間放射線量を測定したので、その結果を報告する。

【方法】
 みどり市東町袈裟丸山塔ノ沢登山口より、中腹の「寝釈迦」まで往復し(片道約2km)、その道すがら、家庭用放射線量測定器・エアカウンターS(エステー、東京)で地表より約1mの高さで空間放射線量を測定した。エアカウンターSは事前に(某施設で)シンチレーションサーベイメータ・TCS-171(日立アロカメディカル、東京)と表示される測定値を比較検討したが、概ね遜色ない数値が得られた。
 測定場所は道標前など、目印になるものの付近で行い、途中、目印のない地点の測定にあってはハンディGPS計測器・Foretrex101(GARMIN、米国)で緯度経度を計測し記録した。

【結果】
 2011日5月20日、天候は晴れ。午前8時から11時の間に塔ノ沢登山口から「寝釈迦」周辺まで計9ヶ所で空間放射線量を測定した。結果は以下の通りであった。空間放射線量は測定時に多少の変動があるため±を加えた。デジタルカメラで撮影した画像も提示する。(光の反射や手ぶれがあったりして、うまく撮影できてないものもあり、それぞれの地点で良く撮れた画像例を提示する) 単位はμSv/h(1時間あたりマイクロシーベルト)である。

地点1. 塔ノ沢登山口 : 0.38μSv/h±
地点2. 木橋の標識前 : 0.28μSv/h±
地点3. 登山道途中(N36°35'59.54" E139°22'02.92"地点) : 0.24μSv/h±

地点4. 寝釈迦中間地点道標 : 0.21μSv/h±
地点5. 登山道途中(N36° 36'13.82" E139°21'59.78"地点) : 0.34μSv/h±
地点6. 寝釈迦横 : 0.30μSv/h±

地点7. 寝釈迦北「ゴミは持ち帰りましょう」標識前 : 0.31μSv/h±
地点8. 寝釈迦北ベンチ前 : 0.32μSv/h±
地点9. 寝釈迦道標前 : 0.33μSv/h±

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 同日、小生の家(東毛某所)の庭での測定では0.05μSv/h±であった。

 なお「放射線物質汚染対処特措法」による土壌等の除染等の措置は、1mの高さでの空間放射線量が「一時間あたり0.23μSv以上」と規定されている。3)

【考察】
 高濃度の放射性物質による汚染が危惧されていた袈裟丸山系であったが、測定の結果、簡易測定器の計測値であるものの、平野部から比べると概ね5~7倍という、除染レベルに相当する高い空間放射線量が、事故後1年経過した時点でも依然存在し、その数値も国や市で発表された数値と概ね同程度であることが確認された。登山口の放射線量がやや高いのは、登山者の靴等に付着した高所の汚染された土砂が登山口に運ばれたことが一因ではないかと推察した。
 昨年初夏にも測定を計画したが、当時は安価な簡易測定器が発売されてなかったこと、加えてこの山系に不案内で単独行ではいささかの危惧があり実行できなかった。近頃入手容易な家庭用放射線量測定器が安価で発売され、今回は「寝釈迦」までの道に明るい同行者にも恵まれたため、懸案の計画を実行できた。機会があれば、より精密な機器にて別の山系も含め測定をしたいと考えている。

【謝辞】
 快く同行していただいた、げきさかのぼる氏に感謝致します。

【参考文献】
1) 文部科学省及び群馬県による航空機モニタリングの測定結果について(平成23年9月27日) (PDF) 放射線モニタリング情報 文部科学省 2012年5月23日アクセス
2) みどり市放射線量マップ (PDF)  みどり市 2012年5月23日アクセス
3) 放射性物質による環境汚染情報サイト 環境省 2012年5月23日アクセス

せっかく袈裟丸山に行ぐんだし、空間放射線量調査をやってみたで・・・結果は、いつものブログのスタイルを変えて、昔取った杵柄?で、ちっと学術報告っぽくしてみたで(笑)
 
 ・・・まぁ家庭用放射線量測定器で測ったもんだし「参考程度」に見てくんなぃね! 追試も歓迎!(笑)
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by dr_suzuki | 2012-05-23 13:36 | 東毛(+両毛)漫遊 | Trackback | Comments(7)
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Commented at 2012-05-23 22:56 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by げきさか at 2012-05-23 23:08 x
この報告を読むと、当日は、もっと、いろいろな場所で測っていただくのが良かったのかな、と思いました。

すたすたと勝手なペースで先を歩いてしまい、すみませんでした。
少し反省です。
Commented by dr_suzuki at 2012-05-24 07:59
▼げきさかさん
改めていろいろありがとうございました。国の作成したマップをみると、弓の手~賽の河原あたりの汚染が高いようです。次回は折場登山口から登ってみたいですね。
Commented by cas50414 at 2012-05-24 08:27
改めて。。山は結構危ないのね・・
Commented by dr_suzuki at 2012-05-24 10:13
▼cas50414さん
仮に1年間そこに住み続けたとして年間2mSvいくかどうかなので(ゼロに近いのが望ましいのは間違いないのですが)、これをキケンと感じるか、「直ちに影響はない」と考えるかは個人差もあるでしょう。地表面はもっと線量が高いでしょうしね。
Commented by ざすっぱ at 2012-05-24 10:47 x
興味深く読ませて頂きました。ある放射線の先生の意見が朝日新聞に意見を寄せていました。放射線傷害にそれほど危惧する必要がない。根拠1)広島長崎の放射線傷害で急性期には血小板などの傷害があるが、長期的には傷害に有意差が見られなかった。2)小児がんに放射線治療を行っているが、長期的に傷害はみられていない。3)ラットにこの100倍量の環境で育てても、DNAに損傷は見られなかった。こんな内容でした。私としては問題はないと考えています。しかしこのような放射線が実際群馬県で測定できているという事実には驚きました。
Commented by dr_suzuki at 2012-05-24 11:07
▼ざすっぱ先生
ご高覧ありがとうございます。放射線診療従事者に対する線量限度(職業人線量限度)は1年で50mSv、5年で100mSvですからね。まぁそれから比べるとかなり低い値なのですが、内部被曝の問題や被曝に対しての精神的ストレスもあるでしょうから、いろいろ大変だと思います。


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