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2010年 10月 25日
高坪山 (太田市北金井町)
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高坪山 (太田市北金井町)・手前は後田池のひとつ北の池

 家族が用事で皆出かけちまったんで、オレは先週に引き続き八王子丘陵に行ぐことにしたんさね。今日のターゲットは太田市北金井町の高坪山。2007年にも雷電宮探しで来た山だぃね。太田市の八王子丘陵整備の前に、ここが高坪山だっつーことを、改めてアピールしとくんべぇとゆう狙いだぃね。そんなんで今回もおーか長げぇよ。

 高坪山は2万五千分の一の地図では.236mと書かれてるんで、236m峰と紹介されてるサイトも多いやぃね。これまでオレがいろんなところで得た情報を整理してみんべえか。

 『上野国郡村誌』新田郡には北金井村の項があり、その「橿域」の項に以下のように記されてらぃね。
 
橿域
南方強戸村ニ隣リ西方成塚邨菅塩邨ニ接シ、北方山田郡廣澤村ニ境シ髙坪山之ヲ界シ、東方吉澤丸山村ニ境シ分木山之ヲ界ス
 「山」の項には髙坪山と分木山が記され、高坪山は以下のように記載されてるんさね。

 髙坪山
 髙百廿六丈、八王子山ノ一峯ナリ、村ノ北方ニアリ、西ハ菅塩村ニ属シ北ハ廣沢村ニ属ス、山麓松楢雑木ヲ生ス、登路六町十五間字後田ヨリ上ル
 高坪山は「後田」から上り、西が菅塩村領分、北が廣沢村領分であり、旧郡の境界もこの山がしてるっから236m峰は「高坪山」で疑いの余地なしだぃね・・・地元の仙人様にも、あの山が高坪山だと教えてもらったしね。

 そして以前、更にこの辺の地名を調べるべく、太田市教育委員会文化財課で『太田市地籍集成図』(1988)を閲覧させてもらったぃね。この236m峰の太田側は、小字3つで分割されてて、西より菅塩分が「東渓」、北金井分が「松ケ沢」「妙知沢」で2分割した形。雷電宮石祠があるんは「松ケ沢」になるみて。236m峰南西の小丘は「東渓」にある。『群馬の山 2 奥利根・上越・県央』(上毛新聞社 1989)にこの236m峰を指して「西渓山」とあるんだけんど、これは誤認と思われらぃね。「西渓」とゆう小字は菅塩の天王山東南斜面にあるんだけんど、山頂らしいところがねんみて。いったいどっから「西渓」の名が出てきたんだか・・・ちなみにマイクロウェーブ中継所跡あたりは「東高壺」、かまぼこ兵舎北の送電線鉄塔の辺りは「西高坪」とゆう小字になってる。

 昔は北金井最深部の郡境の山々を村からみて総じて高坪山と呼んでて、起点の後田池あたりからみて東を「東高坪(壺)」、西を「西高坪」と呼んでたんじゃねんか・・・と思うんさね。

 またその他に「高坪山」が登場する文献は、このブログではお馴染みの新井信示「八王子山脈縦走記」(1936)があるで。この山に相当するピークは雷電様のあった山として、こう記されてる。
(前略) 石尊山から約一キロで分水線上二百二十米の山頂に雷電様の石宮が有って「寛政十年戊午三月吉日願主金井惣村中」とあり、石宮の後ろに空洞の黒焦げになつた古木があったのでどうして焼けたのかなと思つて見た。雷電様があるから、雷電山というのであらう。此処からは南方遥かに懐かしい金山の全姿が見渡された。若し同行者でも有つたら互に感興を語り合ふべき處である。うら山のすぐ北に金井萱鹽の谷から廣澤村大字舞臺へ越える岐路があつて標高約百八十米の處を超えて居る
 それから尚も分水線上を北へ北へと進んで、標高二百米の瘤山を二つ越えて二百二十余米の無名山(思ふに高つぼ山か)に上りそれを下つて更に次の二百二十米の頂上に立つて目を南方に放つと、美しい圓錐形の天王山二百四十三米の峯は分水線外数百米の彼方に聳え、菅鹽の谷と入長岡の谷とを分けてゐる(後略)
 この文章もこう考えらぃね。
・雷電宮は、現在は山頂になくってなぜか山肌の遊歩道の脇にあるんだけんど、1936年当時山頂にあったんは全く別のもんなんのか、遊歩道の脇のものと同一のもんなんかは今となってはわかんねぇやぃね。
・「金井萱鹽の谷から廣澤村大字舞台へ越える岐路」とあるんだけんど、これは菅塩峠のことと思われ、「萱鹽」は「菅鹽」の誤植と思われらぃね。
・「標高二百米の瘤山を二つ越えて二百二十余米の無名山(思ふに高つぼ山か)」とあるんだけんど、現在の二万五千分の一の地図を見っと、これは日向山の北の山に相当すると思うんさね。高つぼ山としてるんは誤認だんべね。だけんど新井氏が「高つぼ山」の存在を知ってたことは特筆すべきことじゃねーんかね。(当時雷電宮が山頂にあったんで、あそこを高坪山とゆうんをためらったんじゃねぇかと思う。)
・「次の二百二十米の頂上」は「かわご石山」と推定。(かわご石山は桐生側の呼び名なんかもしんねぇけんど)

 さて文献的考察はこんぐれぇにして現地調査に行ってみんべぇか。

 10月24日お昼前、カマボコ兵舎前の駐車場に車を停める。

高坪山 (太田市北金井町)_b0004675_14313847.jpg カマボコ兵舎東南の池は太田市発行の『白図2』をみっと名が「後田池」となってる。小字の名前を取ったもんだんべなぁ。後田池脇の駐車場から高坪山へゴー!途中、イノシシとスズメバチに逢わねぇように祈るばかりだぃね。イノシシ除けに無線機をぶら下げ、NHK-AMを流しながら歩く。遊歩道はぬかるんでておーか歩きづれぇやぃ。


高坪山 (太田市北金井町)_b0004675_14425948.jpg 遊歩道の途中に、以前訪れたあの雷電宮を発見。どっかの誰かが小さな観音様?をのっけてくれたみて。「八王子山脈縦走記」じゃ、雷電宮は山頂にあるって記載があるんだけんど、どうみても山肌にあるんだけんどなぁ。どうしてここにあるんか本当に謎だぃね。


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「寛政十年戊午三月吉日願主金井惣村中」の雷電宮

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遊歩道/途中から眺める高坪山/入口めっけ

高坪山 (太田市北金井町)_b0004675_1436482.jpg 菅塩に抜ける切り通しになってるところから、高坪山方面への踏み跡をめっけたんで、そっから上る。落葉で覆われる冬に登るより、この時期のほうがはるかに道がわかりやしいし、落葉で足も滑る心配もねぇしね。道中には怪しい白っぽいキノコがまぁずいっぺぇ生えてらぃね(笑)冬より快適に、ものの10分もかからず山頂に到着。


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高坪山山頂(236m)

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 山頂の樹木に誰かが、236m峰と札をかけてくれてらぃね。(先週の根元山の275m峰の札と同じ人だんべな) 冬より展望はねぇんだけんど、以前来た時よりもはるかにここを訪れている人が多そうな感じだぃね。


高坪山 (太田市北金井町)_b0004675_1434721.jpg ピンクのリボンが尾根沿いにところどころ巻かれてるんがみえる。しかもこの山頂のピンクのリボンには「高つぼ山」と書いてある!オレのブログを読んでくれたんか、はたまた地元の人がやってくれたんだかわかんねぇけんど、うれしかったで!この山頂には整備の時にぜひ「高坪山」の山名標を立てるんべぇや!>太田市のエライ人!


高坪山 (太田市北金井町)_b0004675_14342194.jpg で、このピンクのリボンを辿って西へ行ってみる。このまま行けば菅塩峠に出るはず。途中分岐があるけんど、ピンクのリボンを辿れば迷わねぇやぃね。このリボンには番号が書いてあるんだけんど、予定されてる太田市の八王子丘陵整備のもんなんかな?


高坪山 (太田市北金井町)_b0004675_1434388.jpg 眼下に峠道が見える。これは菅塩峠の道だぃな。ピンクのリボンに沿って峠の南の急斜面に注意しながら下りてみる。途中にいやに鮮やかなスーパーマリオに出てきそうな派手な色のキノコがあるで。きっと毒キノコなんだんべなぁ。


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久々の菅塩峠・菅塩側より

高坪山 (太田市北金井町)_b0004675_14351532.jpg そういや峠が少し広がった感じがすんなぁ・・・倒木もどかされてるし、ちっと樹も打ち払われてるし。以前の工事跡とゆわれる両側の玉石もよくめぇるようになってるし。だれかが手を入れたんかな?


 尾根伝いに西へ行ぐとカマボコ兵舎前の駐車場から遠くなっちまうんで、来た道を引っ返ぇし、高坪山山頂まで戻ることにしたで。山頂に戻って一休み。ここでアマチュア無線を運用してみたんさ。山梨県甲州市移動の局と交信。こっちは太田市高坪山だとアピールしておいたで(笑)

 東の唐沢山にでも足を延ばすか・・・と思ったら、ここで携帯に家からメールが来た。夕方から仕事もあることだし、早々に帰ぇることにした。下りてぐと、下から何やら人の声がする。八王子丘陵で人に会うなんてなぁ。どうやらキノコ狩りの男性2名。挨拶をすると「運動かい?」と聞かれる。まぁこの時期にキノコ狩りじゃなく、こんな山を歩いてるヤツは、向こうの人にしちゃあ、おーか酔狂な感じなんだんべな。


高坪山 (太田市北金井町)_b0004675_1436201.jpg ぬかるみの遊歩道を下って駐車場に向かう最中、なんやら「ブーン」という怪しげな音・・・みたら周囲にスズメバチ2匹!なから涼しくなったんに、まだこの時期、スズメバチいるんきゃー!黒いズボンをはいてたんでおーか焦ったぃ。脇を刺激しねぇように恐る恐る通り過ぎて、その後遊歩道をダッシュで駆け下り、なんとか無事逃れたぃね。上りより下りの方がまっさか疲れたぃねぇ(笑)。いやほんと、山でのスズメバチは怖えぇやぃな。

 後田池北の遊歩道脇に、紫の実(名称わかんね;ナナカマドかな?)がなってたぃね。秋深しってとこだぃねぇ。

 高坪山ハイキング、これにて了。



高坪山 (ちず丸リンク)

【参考文献】
『上野国郡村誌』 北金井村
新井信示 「八王子山脈縦走記」 p9-11 『毛野時報』11号 1936
『群馬の山 2 奥利根・上越・県央』p245 群馬県山岳連盟/編 上毛新聞社 1989
『太田市白図2』 太田市役所発行
『太田市地籍集成図』 (←太田市教育委員会文化財課で閲覧) 1988

【追記】
 下図は、カシミール3Dで国土地理院「ウオッちず」公開データに、GPSデータ読み込みこんで加工したものを引用。真ん中のフラッグは雷電宮石祠。オレが太田市教育委員会で調べた小字のおおよその位置をオレンジ色で地図内に記入。菅塩側にも「高壺」の小字があるんだけんど北金井の「西高坪」に接しているからなんかな?「西渓」の位置にもぜひ注目してほしいやぃね。】
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by dr_suzuki | 2010-10-25 15:01 | 東毛(+両毛)漫遊 | Trackback | Comments(2)
Commented by じろえもんばし at 2010-10-26 22:43 x
北金井のカマボコ兵舎、まだあったんかや~。昭和39年、東京オリンピックの年に、石橋町子供会の夏休みキャンプで喰ったカレーの味を思い出したで。
Commented by dr_suzuki at 2010-10-27 19:52
▼じろえもんばしさん
まだまだ現役。数年前エンジ色に塗られたぃね。
やっぱ北金井とゆったらこれ!だぃね(笑)


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