2010年 09月 01日
加茂川の滝 (太田市西長岡町) ~ 惟喬親王伝説の滝は何処に
 残暑厳しいんで涼しく滝の話題でも・・・といっても今回もおーか長げぇよ。

 山といえば流れ出す川がつきもんで、そこには滝があったりして、所によってはそれが名所になってることが多いやぃね。じゃあ標高300mにも満たねぇ八王子丘陵には滝があるんだんべか?

 これまでも駄文を綴るんに、いくつかの資料を当たってると、八王子丘陵にはどうやら少なくとも3つの滝がある(あった)ことが文献的に分からぃね。

不動の滝
 唐沢峠越えの不動様の上にある滝らしい。(以前冬に行ったときは確認でぎなかったぃね。)雨の後には3段の滝が現れるそうで(『群馬の山2.』p245 上毛新聞社 1989)、こりゃさぞかし壮観だんべけんど、一人で行ぐのも崖なんでなんだし、ハチやヘビも怖いんでまだ見物に行ぐんを躊躇してる。地元の「毛里田かるた」にも 【よ】よしざわの山肌あらう不動滝 って詠まれてるし。・・って、絵札だけみっと水路かなんかにしか見えねんだけんど。(笑)

瀧ノ入権現の滝
 薮塚滝ノ入(現在の東毛自然の家の手前)の瀧権現神社の裏に壮観な滝があったとゆうんさね。(現在はなさげ;この件は後述予定)大正期(1926)の『藪塚鉱泉案内』の中に画像が載ってるから、その時分はあったんだんべか。

 そしてもうひとつが、今回取り上げる西長岡の加茂川の滝

 西長岡にはその昔、京から下った惟喬親王がこの地にあって、京に似た長岡の地の山や川に京都の山川の名前をつけたっつーゆう伝説があるんさ。流れてた川には京の有名な「かもがわ」の名をあてたんだんべ。(この川について文献でも「加茂川」「賀茂川」「鴨川」とゆう表記が混在してるんだけんど、この記事では原則「加茂川」にしとくね)

 過去、何度か西長岡にあったとゆう長生館御所山のことを調べてるときに「加茂川の滝」については文献的にもその存在に気づいてたぃね。

 例えば『太田市史 通史編 民俗上』p666-667にはこう書いてあるんさ。
『太田市史 通史編 民俗上』 p666-667
 西長岡を流れている賀茂川には、ヒルがいない。(中略)惟喬親王がヒルを封じ込めたためという。これによって賀茂川の水を人家の飲み水にすることができたという。

 以前、手に入れた『西長岡鑛泉案内』の西長岡八景には加茂川の名物は流蛍とある。
『西長岡鑛泉案内』 
西長岡八景

天王山春曙、西山早蕨、加茂川流螢、長岡池扁舟、御所紅葉、新田山葺狩、刀根川眺帆、御影井舊趾
名産として鉱泉煎餅、長岡石材、魚鳥の類、葺等を數ふ

 以前引用した『薮塚鉱泉案内』の案内図にも「加茂川の滝」の表記をみることがでぎらぃね。その部分を拡大引用。(赤丸はオレが書き込んだぃね)
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 そして『薮塚鉱泉案内』には「加茂川の滝」の項があってこう記されてる
『薮塚鉱泉案内』 p33-34
 加茂川の滝

西長岡の谷々から流れ出づる水はやがて加茂川になって、天王山の支脈たる愛宕山裾に沿うて流れる。其處には奇石あり、巨岩あり、千姿百態雅趣掬す可き者がある。其岩間から流れ出づる水は、岩に觸れ石を打ち、或は白玉となり或は明珠となり果ては瀑布となりて數丈下に流れ落ちる 盛夏炎熱の候、一度此の瀑布の前に立てば涼氣横溢全身の粟立つを覺ゆ。尚古來より螢と澤蟹多きを以て聞ゆ。

 そしてオレが集めたポストカードには、なぜか「鴨川の滝」として載ってたで。2葉紹介すっと
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すんげぇ壮観な滝じゃねーきゃ!
 

 んじゃ、その「加茂川」っていったいどこにあるん?

 しかし冬に何度か『薮塚鉱泉案内』の示す辺りに行ってみたんだけんど、川の水はちょろちょろしか流れてねぇし、そんな(壮観な)滝らしいもんなんて、どこにも確認でぎねんだぃね。おまけにここの川の名前、説明板には、加茂川じゃなくって「谷津川」って書いてあるし。
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谷津川なんかい、そーなんかい!

 じゃあ困った時の郡村誌とゆーことで、『上野国郡村誌』の西長岡邨の川の項で調べてみっと「谷津川」はあるんだけんど、加茂川は記されてねんだぃね。
谷津川 深二尺巾壱間半、西北藪塚邨ヨリ村ノ中央ヲ過テ髙尾諸山ヨリ発スル所ノ渓水ヲ合セ、東方菅塩村ニ入ル、長拾五町五十間、藪塚邨の岡登用水是ナリ

 ・・・とゆーことは、昔から公的には「谷津川」で、俗称が「加茂川」っつーことなんかな。

 双葉ゴルフ場内の「レストラン加茂川」も、この川が由来なんだと思わぃね。(未確認だけんど太田市役所内に壁画があって、そこに「加茂川の滝」が書かれてるとゆう情報もあったぃね。)

 地元の方にメールで「加茂川の滝」の在りかを伺ってみると「今でも3つの堤の東の川に滝がありますけど・・・」っつー即答だったぃね。冬には水がほぼ枯れてるってことなんかな。んじゃ梅雨時とか雨の時期には滝があるんか・・・行ってみっかと思ったけんど、ここは上州太田ビオトープの里のホタルの里として整備されてて、最近はホタルもいっぺぇ飛ぶらしく、その時期はまぁず人も多そうなんで、時期をずらして行ぐべぇやと思っているうちに・・・すっかり失念しちゃってた(笑)ホタルのシーズンも終わったし、最近は夜な夜なゲリラ豪雨で雨がいっぺぇ降るし、乾燥した冬は枯れてる滝が、この時期ならお目にかかれるんじゃねぇかと思い、再び行ってみたで。

b0004675_22575524.jpg 8月某日夕方、まさに『薮塚鉱泉案内』にあった「盛夏炎熱の候」、駐車場に車を停めて、虫除けスプレーを噴霧し、出発。おーか暑ちぃ中、歩ってって、そこいら辺に辿りつく。「マムシ注意」の看板にビビりながら雑草かきわけ、川縁に行ってみっと・・・川は見事にコンクリートで護岸がされてらぃね・・・耳をすますと護岸の手すりの向こうから水の落ちる音!おー!確かに滝があった・・・ちっと下流に行ってみっと川っぺりに降りられそうだったんで降りてみた(くれぐれも自己責任で)滝目指して遡上。


 そして滝、キター!

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加茂川の滝(推定)

 いやぁ涼しげ!・・・とはいえ落差は1.5mあるかねぇかかな。しかし古のポストカードからみると、まぁず貧弱。奇岩・大岩の類とゆうのもちっともねんじゃねぇきゃ。昔、ゴルフ場の開発で、岩も片づけちゃったんかもしんねぇし、山から湧く水も変っちゃったんかもしんねぇしね。・・・まさかホタルの里で河川整備したときに古の「滝」の跡として、この程度の落差を意図的に作ったもんなんかもしんねぇし・・・この滝は昔っからここにあるもんなんだって信じてぇんだけんどね。・・・まぁ落差これほどのちっちゃなもんでも、八王子丘陵の貴重な「滝」とゆうことで、若干の文献的考察と共に紹介してみたんさね。

加茂川の滝 (←このあたり;Yahoo!ロコ);現地に行ぐ方は、マムシに注意! (万が一噛まれても、血清のあるヘビセンターが山向こうにあるんで安心?(笑))

(八王子丘陵の滝;つづく?)

【参考文献】
『群馬の山 2 奥利根・上越・県央』 p245 群馬県山岳連盟/編 上毛新聞社 1989
『西長岡鑛泉案内』(昭和初期推定)
『太田市史 通史編 民俗上』 太田市編・発行 p666-667 1980
『藪塚鑛泉案内』 今井武八郎 北新鑛泉同業組合事務所発行 1926
『上野国郡村誌』 新田郡西長岡邨
 太田市ホームページ

【2013年2月追記】

b0004675_1843257.jpg【し】 新緑に流れも清い加茂川の滝
  ・・・かるたにも詠われてるんに、今や不遇の滝(悲)

『強戸かるた』 強戸地区青少年健全育成推進会議編 (1987)



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by dr_suzuki | 2010-09-01 19:13 | 東毛(+両毛)漫遊 | Trackback | Comments(2)
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Commented by くろ at 2010-09-02 22:29 x
はじめまして◎
4月から上京してるので群馬弁がとても懐かしいです!更新楽しみにしてます(^O^)
Commented by dr_suzuki at 2010-09-03 18:31
▼くろさん
はじめまして。駄文なんでわりぃんだけんど、また読んでくんなぃね!


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